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2002年5月 死闘ロケハン
「もしもし、2名で予約をしたいのですが、お席はいつでしたら空いていますか」。
「そうですね、6時台は3ヶ月先まで一杯です。8時台で、ひと月先。週末は5ヶ月先まで満席でして…。夜11時からでしたら、なんとか1週間後にとれますが」。
京都の気鋭和食店『GG』へ、予約の電話をいれた時のやり取りである。“予約の取れない店”の評判は全くにして健在。「副編集長、こんな状況なんで、11時の予約しか取れません。でも、最終電車に間に合わないんですけど」。不安気な私に一言。「泊まって食ってこい!」。
その後、苦労してなんとか土曜の夜9時台の予約を取り付けた。にもかかわらず当日、私、熱を出してしまったんです。朝からどうも寒気がすると思っていたら、昼過ぎ頃からクラクラし始め、そのまま起き上がれなくなる。ベッドに横たわりながら15分おきに体温を計る。36.8℃、37.3℃、37.8℃…。数値と共に、私の焦燥感も上昇していく。「今日を逃したら次は1ヶ月後。それじゃあ、特集に間に合わない」。38.3℃。泣きたい。少し眠ろう。
夕方6時にセットしたアラームが鳴った。37.7℃。下がっている。数種の薬が効いたかな。よし、いいぞ。このまま下がり続けろ!汗だくになりながら、希望の光を瞼に灯す。「行けるかも…」。
8時半。私は毛布でぐるぐる巻きになりながら、友人の車の助手席にいた。一路、京都・四条川端に向けて名神を疾走中。持参した体温計で検温を続ける。37.4℃。
店はこんな時間にもかかわらず賑わっていた。飛び込みで当日キャンセルを狙う客も後を断たない。我々は席に着く。お酒は断念。そうして、間もなく、瑞々しいお料理
がさざ波のように打ち出されてきた。恍惚感に守られながら、蜜のような時間が流れていく。
食事を終えたのは深夜1時前。凄みのある料理だった。比類なき独創性。感動と興奮で身体が熱い。ん、熱いといえば、そうだ、熱は? ピピピッピ。36.2℃。なんと。治ってるじゃないですか。
教訓:
実は以前にも似たような体験があります。病み上がりでフレンチの特別ディナーをいただいた時。レストランへ行くまでは、どう考えても鴨だのウズラだのは無理だと思っていました。しかし、食事を終えてみると、不思議、身体は軽く、このまま歩いて帰りたい程にエネルギッシュ。極上ワインと料理の効用を痛感しました。美味しい料理
には治癒力があるのです。そう、『風邪には美食』(清)
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