2003年3月 

一年ぶり、渾身のラーメン特集です。以下勝手ながら、私見を述べさせていただきます。
 ラーメンの食べ歩きで、常々迷うことがあります。それは、初めてのそのお店で、第一にどのラーメンを注文するかということです。つまり食べるべきラーメンはどれなのか。特に店数をこなす(それだけ取材候補の多い)ラーメンの食べ歩きの場合、多くのお店が一期一会となります。貴重な機会に、そのお店の最大パフォーマンスを体験したいと、常に思っているのです。
 「中華そば」と「チャーシュー入り中華そば」のみというシンプルなメニュー構成のお店なら、まぁ迷うことなく「中華そば」を選択すればよいでしょう。ただし、中華そばにチャーシューは入っているか、チャーシュー入り中華そばとチャーシューの差はナンなのかを、お店の方に訊いたりして、しっかりと把握してから決定します。このタイプのお店は、精神的にもゆとりを持ってそのラーメンに臨めます。
 しかしたとえば「醤油」「塩」「味噌」「タンタンメン」と選択肢が多い店の場合は、メニューを見た瞬間から迷いが生じます。さらにそれぞれ「並」「肉入り」「肉抜き(並とは価格が違い、並とは別物というニュアンスを含みます)」「メンマ入り(並にはメンマが入っていないのでは?という不安がよぎります)」「玉子入り(生卵なのか茹で玉子なのか、それとも味付き煮玉子なのか?)」とくれば、複雑です。「コレを食べよう」とピンポイントで入っているわけではないので、瞬時の決め込みが難しくなってきます。カウンターではお店の方が、注文をいまかいまかとじれながら待っているようです(そう感じてしまうのです)。ここで「何が一番おすすめですか?」と訊いてはいけません。寿司屋のその日のネタ同様、9割方「ウチは全部がおすすめですから!」と言われるのがオチです。それはそうでしょう、メニューに載っているもの、お奨めでないはずがありません。
 そこで考え直して「多く出るのはなんですか」と聞き直します。そうすると、「いや〜醤油が多いよ」とか、「タンタンメンお好きな方が多いですよ」「最近塩がよぉ出ますわ。新作なんですよ」と、少し自信ありげに教えてくれます。その言葉の中に「すべてがおすすめだが特に醤油を食べてほしい」とか「苦労して仕上げた肉味噌、絶品や」「塩味でこの店のダシをあじわってくれ」という、お店の方の気持ちの部分が見え隠れしてくる(気がする)のです。
 そうなると、絞り込みはかなりできます。お店の方に聞き込みながら、具が平均的に入っているメニューを選べば、きっとその店の「ええとこ」を味わえる、そう経験的に判断しています。
 今回掲載しましたラーメンは、ロケハンの時にいただいたメニューと、ほとんど同じ品でした。お店にあまたあるメニューの中から「店主の思い入れが深いラーメン」がセレクトできていたのでは、と自負しております。弊誌を手に、食べに出掛けていただけましたら幸いです。
 また、この場を借りまして、ご協力いただきましたすべてのラーメン屋さんにお礼申し上げますとともに、皆さまのご繁盛を願っております。
(それにしても70杯はきつかった。編集部・誠)