2003年8月 

 ロケハンとは、ロケーション・ハンティングの略でございまして、通常は撮影場所などの下見を意味することが多いようです。
 我々の場合、ロケハンとは下見=舌見(語呂合わせですが)となります。つまりロケハンという場合は大概『名乗らずにお店にお邪魔して、そのお店の味なり雰囲気なり価格なりを、そのときどきの特集企画に合致するかどうか、客として勝手ながらに判断させていただく』という作業を指しています。
 掲載させていただくお店は、物理的に不可能な場合を除き、すべてあらかじめロケハンしております。読者の皆さまが推薦してくださるお店を始め、ライター、カメラマンほか関係方々から情報を集め、昼夜を問わず(時に深夜にも)いそいそとロケハンに出掛けます。
 ただし、お邪魔するお店がそのまますべて掲載オーケイとなるわけではありません。その企画にぴったりのお店で、こちらが取材をお願いしても、先方が辞退されたなら、また一から探し直し。そういったケースも多いのです。日常作業の半分は、このロケハンに割いていると言っても過言ではないでしょう。
 さて、今回の北摂&堺・泉州。特に『堺・泉州』エリアについては、読者の皆さまの特集希望も多く、98年の弊誌リニューアル以来、初めての集中取材となりました。『北摂』エリアは昨年の7月号以来2回目となります。
 編集部としましては、大阪北部と南部のお店を一挙に取り上げることで、非常に使いでのある一冊にしようではないか、とやる気モリモリで企画したまではよかったものの、担当に手を挙げてから、正直なところ後悔しました。
 遠いんです、編集部所在地から。
 前月の『列車の小旅』特集も、ロケハン先としては遠いものでした。とはいってもいったん彼の地へ行ってしまえば、周辺でお店を探せばよく、移動範囲はそれほど広く設定しません。それは行く先々での利便性を考えてのものです。
 しかし、今回は広いエリアの中で、ピンポイントのお店探しです。北摂では吹田、豊中、箕面、池田、茨木、高槻、そうそう、今回は摂津市も走り回りました。
 加えて堺、和泉、泉大津、高石、岸和田、貝塚、お店は探しきれませんでしたが、泉佐野市も走り回りました。
 ちなみにロケハン、本取材を含めて、それぞれ担当者の移動距離を算出してみたところ、北摂=約1800km、堺・泉州=約2100kmとなりました。本州を軽く縦断している計算です。
 北摂のお店は、前回特集時に乗せきれず、ストックしていたお店を中心に、比較的すんなり揃いました。
 逆に堺・泉州は大変でした。特集経験のある北摂ほど土地勘があるわけでもなく、駅と駅、町と町との距離感が、最初はなかなかつかめません。お店の情報を得ていても、お邪魔する段取りからしてとりにくい。じつはこれが、エリアとして取り上げにくい、大きな原因になったりします。
 それでも人から人へ、店から店へ。今回の特集では、いろんな方々からご縁を頂戴しました。怪しい一見客を温かく迎えてくれ、ややこしい注文にも気軽に応え、しかもご近所のええお店までも推薦してくれる。そんな人情味と気安さに、編集部と泉州との距離が、一気に近づいた感があります。噂のお店を聞きながら、足で探して訪れるのは、担当編集にとってその町を知る、貴重な経験になるものです。
 北摂、泉州にお住まいの方ばかりでなく、エリア以外の方にもぜひ訪ねていただきたいお店が揃いました。皆さま、お出掛けください。好評でしたらエリア特集は繰り返されます。更に充実した内容の特集を、いつかまたお届けできることでしょう。(高)