2004年12月
 『関西おやつ自慢』。3年半以上も連載が続いている本誌の人気ページである。筆者はジャズ評論家の久保田高司さん。甘いものをこよなく愛するオジサマで、年齢は内緒らしいが、子ども時代を過ごしたのが戦前というから、私(30代前半)の父よりちょっと上ぐらいか。
 さて、これまでの連載の中で紹介したおやつは40品以上。しかもどれも甲乙つけがたい逸品ばかり。「よく、これだけの情報がありますね」と、関心されることも多いが、それは何より久保田さんの探求心があってこそ。インターネットも携帯電話も使わないのに、「誰それが美味しいと言ってた」とか「フリーペーパーの隅っこに載ってた」とか、どこからともなく美味しそうな情報を集めてきてくれる。それを書き手の久保田さんと編集担当の私が試食して、よければ取材…というわけだ。
 9月のある日のこと。
「Mナルドの2Fに14時に来てください」と、久保田さんからのお呼びがかかった。
Mナルドの2F、すなわち美味しい生菓子あります、ということである。久保田さんと私の待合せ場所には2通りあって、日持ちのするおやつの受け渡しの場合は、『駅構内』。生菓子の場合は、『Mナルドの2F』。なぜ2Fなのかというと、大きな声では言えないが、飲物だけ買って店員さんに隠れておやつの試食をするためである。生菓子、特に洋の生菓子の場合は時間によって味わいが変わるものが多いので、久保田さんと私が同じタイミングで食べた方がより判断しやすいからだ。
 「店まで片道2時間もかかりました」と、久保田さんがこの日持ってきてくれたのは、奈良県葛城郡のシュークリーム。台風で大雨が降っているというのに、噂を聞いて買いに行ってくれたそうだ。
 「焼き上がった後、3時間が食べ頃らしいです。今ちょうどその時間」と、こっそりと箱を開け、二人同時にシュークリームを頬張った。
 初めての食感の生地、なめらかで風味豊かなクリーム。2つ、3つ…と幾らでも食べられる。
 「おいしいっ!!」「次の号はコレにしましょう!」。
 こんなふうにして、12月号のおやつは決定した。
 この美味しいシュークリームの詳細は、本誌をご覧下さい。あとで聞けば、取り寄せも可能とのことですが、やっぱり“食べ頃”に味わうのがいちばんです。(的)