2006年12月
12月号は「京都」の大特集。通常特集をぶち抜いて、気鋭の新店、深化する実力店、便利に使えるテイクアウトの店などなど、堂々3部構成でお届けします。
ちなみに、私、京都在住10カ月、「姉・三・六角・蛸・錦…」の並び順すらうろ覚えの新米京都人としては、街を歩いて地理を覚え、おいしい店の手札も増やせるという、しんどくも楽しいロケハンの日々でした。
そんなある日、特集デスクに渡された1枚の紙。とある酒販店のご主人が、おすすめの飲食店を載せているホームページのプリントアウトです。そこで紹介されていた、7月にオープンしたばかりの居酒屋さんが「気になるからロケハンしてみて」とデスク。出かけてはみたものの、「周囲のスタッフは誰も行ったことがないっていうし、当たりの確率は低いかなあ。だいたいこのホームページ、どっから探してきたんやろ?」と少々いぶかしく思っていました。
店に着いてみると、建物の奥まったところにエントランスがあり、隠れ家的な雰囲気。靴を脱いで上がる店内も落ち着いていて、おや、なんだかいい趣きだ。高まりつつある期待を胸に、最初に頼んだレバ刺を一口食べた瞬間、「!!!」。経験したことがないほどのレバーの旨み、フレッシュさにうっとり。「もうよくわかりました。お見それしました」と、この時点でバンザイです。あとは、頼んだものが出てくるたびに「旨い!」「おいしい!」をマシンのごとく繰り返す私。もちろん、一も二もなく掲載を決めました。
翌日、興奮気味にロケハンの報告をすると「せやろ、なんかアンテナにビビッときてん」と得意げなデスク。「ビビッと」って、そんなあいまいな基準でええんかい、と思いつつ、実際いい店が見つかっているわけで。ちょいと悔しいけど、私にはこういう嗅覚はまだまだ身についていません。もっと年季を積まないと、あの得意顔を真似ることはできないな、と少し遠い目をして考えたのでした。
あ、もちろん、ロケハン店の選定は編集部員やライター、カメラマンなどスタッフの情報網を駆使して集めるのが基本。できたばかりのお店についてはネット情報も参考にする、ということで、これは例外的なケースではあります。
ともあれ、そんなほろ苦さも覚えつつ、京都特集がもう1号作れるほどの候補店から涙を飲んで選び抜いた109軒。一家に1冊、買っといて損はありませんよ、ホントに!(拓)